2017年8月1日

笑顔のおすそ分け

前職が宝石販売だったことから、接客に関しては
なんの迷いも無くお客様に声かけしたり、ご案内をしたり、
ご相談に乗る事も日常の事。
文具の知識はまだまだ全然だけど、勉強中ってことで。
それ以外の、所謂お道具の用途だとか、意味合いだとかは
経験上あまり困らずにお話も出来ていると思う。

そんなある日、メッセージカードを慎重に選ぶお客様が。

レジが空いている時間帯も手伝い、お客様は私に
ご自身が選んだカードを数枚提示。
「招待状なんですけど、これは使えますか?」
見るとそれは、イタリア製の大人っぽい色身にシンプルなデザイン。
格段問題も無さそうに見えたけど、一応表に印刷されている
「FOR YOU」が気になりお客様へ確認。

「FOR YOUですと、若干カジュアルな雰囲気になります。
 こちらは、どのようなご関係の方へお出しされますか?」
お客様は驚いた表情になり、途端にカードを全部並べると、
選んだカード4種は全て「FOR YOU」の印刷が。

「年上の人とかにはコレ、使えないですか?」
綺麗なカードなので、これが使いたいと思う気持ちは
とても強く伝わって来た。
「使えない事はありませんが、例えば恩師やお勤め先の上役の方
 には、INVITATIONと書かれているタイプがお薦めです」

「あぁどうしよう・・・・・・」
準備に時間はあまりない様子で、お客様はレジで悩みだす。
すると、お客様の表情はパッと変わる。
「実は私、今度結婚するんです」

一瞬で私のスイッチも切り替わる。
もはや、宝石屋での経験がそのまま土俵を変えた感じだ。
「おめでとうございます!」
「えっ! やだ、どうしよう、こんな所でお祝いされるなんて
 ・・・・・・すごく嬉しい(照れ笑い)」
お客様から、めっちゃ幸せオーラ溢れだした!

スイッチが入ると、お客様のスイッチも切り替わる。
つまり、「接客」の本番スタートだ。

「実は、ハワイで式あげるんです。だから、目上の人と言っても
 お互いの両親とかなので使えないかなって」
「あら、それなら問題ないですよ。こんな素敵なデザインのカードだし」
「本当ですか??」
「お身内でも、例えば本家の方や大伯父とか格上の方、会社の上司には
 別のタイプがお薦めですけどね。ご両親・ご兄弟限定でしたら、
 十分お使い頂けます」

お客様は安堵の表情に。
仕事帰りに駆け込んでくださったに違いない。
「じゃぁ、これ全部ください♪」

レジを打ちながら、大切なカードを袋詰めしてお客様へ。
「あそこは虹の島です。沢山の虹に祝福されてきてくださいね」
「はい、ありがとうございます!」

眩しいくらいの笑顔。
ハワイは雨もよく振るお陰で、虹の島とも呼ばれている。
きっとあのお客様がウエディングドレスを身に纏うその日も、
美しい虹が幾重にも連なって、眩しい太陽と青空と虹の
幻想的な光景で祝福してくれるに違いない。

そのお客様を見送った後、レジは普通に混雑した。
まるで、彼女の為の時間が用意されていたかのようだった。

素敵な笑顔と、幸せのおすそ分けに感謝♪

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